ハウスメーカー選びで失敗しない!ZEH実績豊富な会社の探し方

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「そろそろマイホームを」と考え始めたとき、多くの人が直面するのが「ハウスメーカー選び」という大きな壁です。
デザイン、間取り、価格…比較すべき項目は多岐にわたりますが、これからの家づくりで絶対に外せないのが「省エネ性能」、特にZEH(ゼッチ)への対応力です。

光熱費の高騰や環境問題への関心の高まりを受け、国もZEH住宅の普及を強力に推進しています。
しかし、「ZEHってよく聞くけど、どのハウスメーカーが本当に信頼できるの?」「実績ってどうやって調べればいいの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ZEH住宅の基本から、後悔しないためのメリット・デメリット、そして最も重要な「ZEH実績が豊富なハウスメーカーの探し方」まで、専門的な視点から徹底的に解説します。
この記事を読めば、あなたにぴったりの、快適で経済的なZEH住宅を建ててくれるパートナーを見つけることができるはずです。

ZEH(ゼッチ)住宅とは?今さら聞けない基本をおさらい

ZEHとは、「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称です。
家庭で年間に消費するエネルギー量と、太陽光発電などで創り出すエネルギー量が差し引きで「ゼロ」以下になる住宅のことを指します。

簡単に言えば、「使うエネルギー ≦ 創るエネルギー」を実現する、環境にも家計にも優しい次世代の住まいです。

ZEHの3つの柱:「断熱」「省エネ」「創エネ」

ZEH住宅は、主に以下の3つの要素を組み合わせて実現されます。

  1. 高断熱性能:
    壁や窓などの断熱性を高め、外の暑さや寒さの影響を受けにくくします。 これにより、冷暖房の使用を最小限に抑えることができます。
  2. 省エネ設備:
    エネルギー効率の高いエアコンや給湯器、LED照明などを導入し、エネルギー消費そのものを削減します。
  3. 創エネ設備:
    主に太陽光発電システムを設置し、家庭で使うエネルギーを自ら創り出します。

これら3つの相乗効果によって、エネルギーの自給自足に近い暮らしを目指すのがZEH住宅の基本的な考え方です。

ZEHにも種類がある!代表的な4タイプ

実は、ZEHにはいくつかの種類があり、創り出すエネルギーの量や地域特性によって定義が異なります。
代表的なものを知っておくことで、ハウスメーカーとの打ち合わせもスムーズに進みます。

種類特徴
ZEH(ゼッチ)年間の一次エネルギー消費量を100%以上削減する標準的なタイプ。
Nearly ZEH(ニアリー・ゼッチ)寒冷地や日射量の少ない地域、都市部の狭小地などが対象。年間の一次エネルギー消費量を75%以上100%未満削減するタイプ。
ZEH Oriented(ゼッチ・オリエンテッド)都市部の狭小地などで、太陽光発電の設置が難しい場合に適用されるタイプ。高断熱・省エネ性能で一次エネルギー消費量を20%以上削減する。創エネは必須ではない。
ZEH+(ゼッチ・プラス)ZEHの基準をさらに強化し、省エネ性能を25%以上削減。加えて、EV充電設備など先進的な設備を導入した、より高性能なタイプ。

これから家を建てる土地の条件や、どこまでの性能を求めるかによって、目指すべきZEHのタイプが変わってきます。

なぜ今ZEH住宅が注目されるのか?5つのメリット

国がZEHを推進する背景には、地球温暖化対策はもちろん、私たち住む人にとっても多くのメリットがあるからです。

メリット1:月々の光熱費を大幅に削減できる

ZEH住宅最大のメリットは、経済的な恩恵です。
高い断熱性能と省エネ設備でエネルギー消費を抑え、太陽光発電で電気を創るため、月々の光熱費を大幅に削減できます。
余った電気は電力会社に売電することも可能で、家計にとって大きな助けとなります。

メリット2:一年中快適な室温で健康的な暮らし

高断熱・高気密なZEH住宅は、外気の影響を受けにくく、家の中の温度差が少なくなります。
夏は涼しく、冬は暖かい快適な室内環境を保てるため、冷暖房の使いすぎを防ぎます。
また、部屋間の急激な温度変化によって起こる「ヒートショック」のリスクを軽減し、家族の健康を守ることにも繋がります。

メリット3:災害時の非常用電源として安心

太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、地震や台風などで停電が発生した際にも電気を使うことができます。
スマートフォンの充電や最低限の照明、情報収集のためのテレビなど、万が一の時でも安心して生活できる基盤を確保できるのは大きな強みです。

メリット4:資産価値が高く、将来的に有利

ZEH住宅は、省エネ性能を客観的に評価する「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」で高い評価を得られます。
これにより、住宅の資産価値が高まり、将来的に売却する際にも有利な条件で取引できる可能性が高まります。

メリット5:補助金や税制優遇が受けられる

ZEH住宅の建築や購入には、国や自治体から補助金が交付される制度があります。
2025年度も「戸建住宅ZEH化等支援事業」などが継続されており、ZEHの性能に応じて55万円から100万円程度の補助金が受けられる見込みです。
また、住宅ローン控除においても、ZEH住宅は一般の住宅よりも控除額が優遇されるなど、税制面でのメリットも大きいです。

【2025年度の主なZEH関連補助金】

  • 戸建住宅ZEH化等支援事業: ZEHで55万円/戸、ZEH+で90万円/戸の補助が基本となります。
  • 子育てエコホーム支援事業(仮称): ZEH水準の住宅を新築する子育て世帯などを対象とした補助金制度が期待されます。(※2024年度の「子育てエコホーム支援事業」を参考に記載)

※補助金制度は予算の上限があり、申請期間も決まっています。最新の情報は必ず各省庁や自治体の公式サイトで確認してください。

ZEH住宅で後悔しないために知っておきたいデメリットと対策

多くのメリットがある一方、ZEH住宅には事前に理解しておくべきデメリットも存在します。
対策と合わせて確認し、後悔のない家づくりを目指しましょう。

デメリット1:建築コストが割高になる

高性能な断熱材や窓、省エネ設備、太陽光発電システムなどを導入するため、一般的な住宅に比べて建築コストが高くなる傾向があります。
一般的に、坪単価で8万円〜10万円、総額で200万円〜300万円程度高くなると言われています。

【対策】

  • 補助金制度や税制優遇を最大限活用する。
  • 複数のハウスメーカーから見積もりを取り、コストパフォーマンスを比較する。
  • 月々の光熱費削減分も考慮し、長期的な視点で総コスト(ライフサイクルコスト)を考える。

デメリット2:デザインや間取りに制約が出る場合がある

高い断熱性能を確保するため、大きな窓や吹き抜けの設置が難しくなったり、太陽光パネルを効率よく設置するために屋根の形状が制限されたりする場合があります。

【対策】

  • ZEH住宅の設計・建築実績が豊富なハウスメーカーに相談する。
  • 早い段階でデザインや間取りの希望を伝え、性能と両立できるプランを提案してもらう。
  • 都市部の狭小地などでは、創エネが必須ではない「ZEH Oriented」も検討する。

デメリット3:発電量が天候に左右される

太陽光発電は、日照時間に大きく依存するため、梅雨の時期や冬場、天候が悪い日が続くと発電量が減少し、シミュレーション通りの発電量が得られないことがあります。

【対策】

  • 蓄電池を導入し、晴れた日に発電した電気を貯めておけるようにする。
  • ハウスメーカーが提示する発電シミュレーションの根拠(地域の気象データなど)を確認する。
  • 年間のトータルでエネルギー収支がゼロになることを目指し、短期的な発電量の変動に一喜一憂しない。

デメリット4:設備のメンテナンスが必要

太陽光パネルやパワーコンディショナ、エコキュートなどの設備は、定期的なメンテナンスや、将来的な交換が必要になります。 これらの維持費用も考慮しておく必要があります。

特に太陽光発電や蓄電池はZEHの心臓部とも言える設備であり、その性能を長期にわたって維持することが重要です。例えば、太陽光発電や蓄電池システムの販売・施工からメンテナンスまで一貫して手がけるエスコシステムズのような専門会社も存在します。

このような専門知識を持つ企業があることからも、メンテナンスの専門性が高いことがわかります。ハウスメーカーを選ぶ際には、こうした専門会社との連携体制なども確認しておくと、より安心材料になるでしょう。

【対策】

  • 契約前に、各設備の保証期間やメンテナンス内容、費用の目安を確認しておく。
  • アフターサポートが充実しているハウスメーカーを選ぶ。

ZEH実績が豊富なハウスメーカーを探すための3つのステップ

ここからは、本題である「ZEH実績が豊富なハウスメーカーの探し方」を3つのステップで具体的に解説します。
このステップを踏むことで、ZEHに関する技術力と経験が豊富な、信頼できるパートナーを見つけやすくなります。

STEP1:「ZEHビルダー/プランナー」登録を確認する

まず最初のステップは、検討しているハウスメーカーが「ZEHビルダー/プランナー」として登録されているかを確認することです。

ZEHビルダー/プランナーとは、ZEH住宅の普及目標を掲げ、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録された事業者のことです。
この登録があることは、国が定めるZEHの基準を理解し、建築する能力があることの証明になります。

【確認方法】
一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)のウェブサイトで、登録事業者を検索することができます。 また、多くのハウスメーカーは自社のウェブサイトでZEHビルダー登録をアピールしています。

さらに、ZEHビルダーには普及実績に応じて星(★)が与えられる「ZEHビルダー評価制度」があります。 星の数が多いほど、ZEHの供給実績が豊富であることを示しており、信頼性の高い指標となります。

STEP2:ZEH普及率(実績)を比較検討する

ZEHビルダーであることが確認できたら、次に各社の「ZEH普及率」を比較します。
これは、そのハウスメーカーが年間に建てた住宅のうち、ZEHが占める割合を示す数値です。

普及率が高いということは、それだけ多くのZEH住宅を手がけており、設計ノウハウや施工経験が豊富であることの証です。 ZEH住宅特有の課題や顧客の要望にも、的確に対応できる可能性が高いと言えるでしょう。

【確認方法】
ZEHビルダーは、自社のZEH普及目標と実績を公表する義務があります。 各ハウスメーカーの公式サイトの企業情報やサステナビリティに関するページで確認できます。

大手ハウスメーカーのZEH普及率(2021年度実績例)

  • 一条工務店: 98%
  • 積水ハウス: 92%
  • セキスイハイム: 89%

※上記は一例です。最新の普及率は各社の公式発表をご確認ください。

STEP3:各社のZEH商品の特徴や技術力を深掘りする

普及率を確認したら、最後は各社が提供するZEH商品の具体的な特徴や技術力を比較します。
同じZEH住宅でも、ハウスメーカーによって強みは異なります。

【比較すべきポイント】

  • 断熱性能: 断熱材の種類や厚み、窓の仕様(サッシの種類、ガラスの層など)はどうか。UA値(外皮平均熱貫流率)などの具体的な数値も確認しましょう。
  • 省エネ設備: どのような高効率な空調システムや換気システムを採用しているか。パナソニックの「エアロハス」のように、メーカー独自の強みがある場合も。
  • 創エネ設備: 太陽光パネルの性能や特徴はどうか。一条工務店の「屋根一体型太陽光パネル」のように、デザイン性やメンテナンス性に優れた製品もあります。
  • エネルギー管理: HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)で、エネルギーの使用状況をどのように「見える化」し、制御できるか。

これらの技術的な側面を比較することで、自社のライフスタイルや価値観に合ったZEH住宅を提供してくれるハウスメーカーが見えてきます。

【2025年最新】ZEH実績で選ぶ!おすすめハウスメーカー8選

ここでは、前述の3つのステップに基づき、特にZEH実績が豊富で評価の高い大手ハウスメーカーを8社ご紹介します。

一条工務店:業界トップクラスのZEH普及率と性能

「家は、性能。」を掲げ、業界トップクラスのZEH普及率を誇ります。 ZEH基準を大幅に上回る断熱性能や、デザイン性の高い屋根一体型太陽光パネルが特徴で、「超ZEH」とも言える高性能な住まいを提供しています。

積水ハウス:豊富な実績と防災力

ZEHの累計施工実績は8万棟を超え、普及率も非常に高い水準です。 太陽光発電に蓄電池などを組み合わせ、災害時のレジリエンス(強靭性)を高めた防災住宅「グリーンファースト ゼロ」が人気です。

セキスイハイム:エネルギー自給自足を目指す住まい

太陽光発電システムの搭載実績が豊富で、エネルギーの自給自足を目指す「スマートパワーステーション」を提供。 標準仕様で高い断熱性能を確保している点も魅力です。

パナソニック ホームズ:先進技術で快適と省エネを両立

パナソニックグループの先進技術を活かした家づくりが強み。 省エネと快適性を両立する全館空調システム「エアロハス」や、エネルギーを賢く管理する技術に定評があります。

ヘーベルハウス(旭化成ホームズ):高い断熱性と耐久性

独自の高性能断熱材「ネオマフォーム」による高い断熱性が特徴。耐久性の高いALCコンクリート・ヘーベルを組み合わせることで、長く快適に暮らせるZEH住宅を実現しています。

ダイワハウス:多彩なZEH商品を展開

エネルギー吸収型耐力壁「D-NΣQST(ディーネクスト)」など、安全性を追求しつつ、多彩なライフスタイルに対応するZEH商品「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」などを展開しています。

ミサワホーム:デザイン性と性能を両立

独自の大収納空間「蔵」のある家でも高い断熱・気密性能を実現。デザイン性の自由度を保ちながら、ZEH基準をクリアする技術力に定評があります。

アキュラホーム:標準仕様でZEH以上の性能

適正価格で高品質な住宅を提供。標準仕様でZEH基準をクリアする高い性能を持ち、コストを抑えながら高性能なZEH住宅を建てたいと考える層から支持を集めています。

ハウスメーカー選びで失敗しないための最終チェックポイント

候補となるハウスメーカーが絞れてきたら、契約前に以下の4つのポイントを必ずチェックしましょう。

モデルハウスや見学会で性能を体感する

カタログの数値だけでは分からない断熱性や気密性、空調の快適さなどを実際に体感することが重要です。特に冬や夏に訪れると、その性能の高さを実感しやすいでしょう。

担当者のZEHに関する知識と提案力を見極める

こちらの質問に対して的確に答えられるか、ライフスタイルに合わせた具体的な省エネ提案をしてくれるかなど、担当者の知識と提案力は非常に重要です。信頼できるパートナーかどうかを見極めましょう。

アフターメンテナンス体制を確認する

太陽光発電システムや省エネ設備は、長期にわたって使用するものです。定期的な点検や故障時の対応など、引き渡し後のアフターメンテナンス体制が充実しているかを確認しましょう。

複数の会社から見積もりを取り、総コストで比較する

初期費用だけでなく、保証内容やアフターメンテナンス費用、そして将来の光熱費削減効果まで含めたトータルコストで比較検討することが、賢いハウスメーカー選びの鍵です。

まとめ:ZEH実績は快適で安心な家づくりの重要な指標

これからの家づくりにおいて、ZEHはもはや特別なものではなく、スタンダードになりつつあります。
そして、ハウスメーカーのZEH実績は、単なる建築棟数を示す数字ではありません。それは、快適で、経済的で、安心な暮らしを実現するための技術力と経験の証です。

今回ご紹介した探し方のステップとチェックポイントを参考に、ぜひあなたとご家族にとって最高のパートナーを見つけ、理想のZEH住宅を実現してください。

最終更新日 2025年12月18日 by miyaza